日誌
近藤康弘さんの薪窯ドラ鉢(小)
お客様からのご希望があり、久しぶりに益子の近藤康弘さんにいくつかやきものたち送って頂きました。
その中のひとつ、ドラ鉢の小サイズ。
2012年にはじめて近藤さんと出会い、作品群を目にした時からあったのがこのドラ鉢。
これまでにもう何回、百職に届いたことか。
大中小と三つのサイズがある中で、小サイズはφ90mmと豆皿の部類に入れてもいい、手のひらにも乗ってしまうサイズ感です。
箸休めの小さな副菜用というほかにも、四角く切ったバター、ジャムを入れてパンに添えて出してもいいなと思いました。
おいしいお塩や角砂糖を入れたりしても。
側面下のほうには、トレードマークの飛び鉋(とびかんな又はとびがんな)での模様がいつものように施されています。
大分の小鹿田焼と並んで飛び鉋模様で知られているのが福岡の小石原焼。
この小石原焼で習い覚えた飛び鉋を、益子で取り入れ名手として知られていた榎田窯こそが、実は近藤さんの修業先。
修業時代に幾度も幾度も手掛けた飛び鉋。
こうして今も、作品の一部に施されています。
今までと違うのは、薪窯で焼成されるようになって、窯変(思いがけない釉薬の色や流れや質感の変化)の具合もより大きく豊かになり、ひとつひとつの個体差がもっと生まれるようになりました。
鉄点のにじむような現れ方などは、より柔らかくなり美しいです。
すごく久しぶりに近藤さんの経歴を読んでいたら2009年に独立築窯の文字を見て
「あれ?近藤さんの独立と、百職のオープンは同じ2009年だったんだ」
と、覚えていたつもりがすっかり抜け落ちていたことと、思いがけず同期の桜的だったかと認識し、途端に嬉しくなったのでした。
そもそも近藤さんと私とでは、年齢も一歳しか違わないので、人生の歩みみたいなものも自ずと似通ってくるのでしょう。
近藤さんが榎田さんのところから独立して13年後の昨年2022年。
ずっと念願だった薪窯を、ようやく自分の手で築窯しました。
まだまだじゃじゃ馬だというその薪窯との付き合い方は手探り中。
これからも少しずつ時間を経るごとに、焼きによる表情も変わっていくだろうと思います。
今年8月末に予定している個展が今から待ち遠しいです。