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web shop更新情報|濵端弘太さんの隅切盆
年末年始。
コロナ禍ですが、今年は少しずつ家族やごく親しい間柄で集まったり、お呼ばれする時間を持たれる方も増えるでしょうか。
そんな季節に重宝する道具は、トレイやお盆。
お料理や飲み物を出したり下げたり、しつらえや料理の盛りつけに使えるものあったりと、あるととっての便利な道具です。
常設のみで取り扱っていたトレイやお盆類4種を、このほどweb shopにも掲載しました(やっと)。
今までは店頭でのみしかご紹介していなかった作品もご覧頂けますので、この機会にぜひ。
ここでご紹介するのは、長崎の木工作家である、濵端弘太産さんの漆の隅切盆について。
少し四隅を切った形を「隅切形」と呼び、器の世界でも隅切皿、隅切盆のように使われます。
細長い形状に仕上げられたプロポーション、そして白漆と黒漆のコンビカラー。
モダンで瀟洒な印象です。
盆、トレイとして使うほかにも、うつわとしてもお使い頂けます。
裏返すと底も漆仕上げですので、リバーシブルでも使えます。
光沢の少ない、ややざらついたようなラフな表情に仕上がるように、下地の質感が粗くなるように施され、上塗りの漆の塗りも工夫されています。
黒漆の部分だけは部分的にツヤがあり、ハーフマットなようなツヤが独特な美しさです。
ベースとなっている木地そのもの作りこみ方、細部に渡るディテールなど素晴らしく、濵端さんの技術が冴え渡っています。
盆内側の、隅切型のシルエットに彫り込んでいる箇所はとても難しいものですが、きれいに仕上げられていて、実際に彫っているからこそ生じる立体感と陰影は秀逸です。
素材の板状の木材を途中まで糸鋸やトリマーなどの工作機械類を使用し加工しますが、濱端さんはある段階からは彫刻刀や小刀、鑿(のみ)、鉋などほぼ手道具で仕上げます。
どんな雰囲気にしたいか、手をかけすぎても値段が高くなってしまうのでかかる時間も考え、完成形をイメージしながら、工夫や技術を駆使し、手道具で細やかに仕上げられていきます。
単に難しい技術をふるうだけではありません。
出来上がった品物自体「物」としての確かな存在感を携えています。
完成度の高い「作品」であり、暮らしを豊かにしてくれる美しい「道具」でもあるのです。
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