日誌

2022-11-11 17:57:00

出展作品紹介 印花三島プレート 6寸

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《11/3-13 井上茂個展開催中》
つっぴ、つっぴ、つつぴちゅ、つつぴちゅ。
文字で表わすとこんな感じで、ルリビタキが澄んだ声でもうすでに半月前くらいから背後の山のほうで鳴いています。
冬が近くなってきたことを感じます。
展覧会もいよいよ6日目となっています。
今日は、今まであまり作家さんもののうつわを手にしたことがなかったという方や、和食器は実は初めてですという方もいらしてくれています。
そんな皆さんの「初めてのうつわ」として選んでもらえているのは嬉しい特別なこと。
わかりやすいことからお取り扱いについてのお話などさせてもらっています。
そうすると自分にとっても、日々のお手入れに改めて気持ちが向いてくる良い機会に◎

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グレー、白、焦げ茶。
渋い色合い。
素朴な料理をふと載せてみたくなって、里芋できぬかつぎを。
蒸かした里芋を、ぽこぽこただ並べるだけ。
難しいことは何もなしで、彩りも控えめ。
特に凝った料理でなくても、不思議とおいしそうに見せてくれる(里芋が好きだからかもしれないけど)。
それが器の力だなと実感します。
対して彩りを添えても、もともとシックな色の器ですからしっくりなじんでまとめてくれます。
和食との相性のほか、チヂミや焼売、餃子なんかもいい感じに似合いそうです。
中華、エスニックもということ。

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印花の「印」はとても簡単にいうとスタンプのことで、そして「花」は花模様という意味。
花模様のスタンプと書くとやや情緒が薄らぐ気もしますが、中央にあしらわれているのは一つ一つ押された印花模様。
そしてもうひとつ。
周囲を囲む点々。
三島と呼ばれる器のいくつかの装飾技法の内の一つで「暦手」と呼ばれています。
諸説ありますが、この点々模様の三島の器が高麗から日本に渡ってきた際、平安時代から三嶋大社で発行されていた「三島暦」の見た目に似ているということで人々が通称として暦手と呼ぶようになったとも伝えられています。
この暦手の印もあり、一つ一つ押してあります。

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絵付けでもなく、彫りや掻き落としでもない。
印を押すその強弱や具合、リズムにも個々の作り手の個性が垣間見えてきて、器を見る楽しさの一つだなあとつくづく実感します。


こころの風景|井上茂 個展
2022/11/3(木・祝)-13(日)
12:00-18:00
▽2日目からは入場自由(予約不要)
最終日11/13(日)のみ16:30終了
- クレジットカードのご利用が可能です
2022-11-10 19:48:00

出展作品紹介 緑灰釉浅鉢 6寸

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《11/3-13 井上茂個展開催中》


展覧会後半となった展覧会5日目も無事終了しました。
少しずつ店内はすっきりしてきましたが、まだ重ねて展示しているうつわもあって、それを皆さんが真剣に見比べてくださるのが嬉しい。
私が気に入っている作品もまだありますが、それはいったいどうなるのか…
明日もぜひお待ちしています◎

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木々の緑と、朝焼けや夕焼けが映し出されたようなうつわです。
井上さんが、窯焚きの火を酔わせるようにぐるぐるさせて焼くんです、と話していました。
それゆえに、窯の中の状態が不均一になり、ますます個体の表情が多彩な作品を生むのだそうです。
見込みの釉溜まりが印象的なこの定番の緑灰釉の浅鉢も、展覧会となれば様々な表情のものが並びます。


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おなじみの方は名前の通り緑色の透明感あふれる色の印象が強いと思いますが、中には失透しているような珍しい個体もあります。
灰の中の不純物とされるようなものも井上さんはできるだけ生かし、表情を引き出しているのです。
緑色の中に、白い結晶体のようなものが浮遊する不思議な個体。
白波が砕けるように貫入し泡が立ったまま、時が止まったような個体。
どれもひとつひとつに個性があります。


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見込みを取り囲む淡い夕焼けのような色の中にもグレーが入っていたり、薄紅色が表れています。
情感豊かで、悠々と重なりゆく美しい色あいの、自然の中の風景を眺めるかのようです。
料理もおのずから、季節感のある食材を選びたくなります。


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こころの風景|井上茂 個展
2022/11/3(木・祝)-13(日)
12:00-18:00
▽2日目からは入場自由(予約不要)
最終日11/13(日)のみ16:30終了

- クレジットカードのご利用が可能です
2022-11-09 17:43:00

出展作品紹介 土刷毛目プレート 6寸 

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《11/3-13 井上茂個展開催中》

11/8(火)と11/9(水)は休廊でした。
明日11/10(木)から展示も後半戦。
まだいろいろとお選び頂けます。
最新作のプレート皿、昨年の新作である白三島や緑灰釉のドラ鉢。
定番人気の白三島に彫三島。
新作や定番は井上さんが頑張って多めに用意してくださっただけあって明日も楽しんで頂けます◎
ほかにも新米に合わせて手に入れたくなる飯碗、各種6寸皿、5寸皿、浅鉢、湯呑み、小皿・豆皿類、おさじ、花入れなど、どれも井上さんらしい土味、釉薬の美しさや味わい深さが染みる器たちを揃えて、お待ちしています◎
新しい形のプレート皿に土刷毛目タイプもあります。

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井上さんの土台となっている粒の粗い赤い土。
この力強さを存分に生かしているのが刷毛目のうつわだと思います


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刷毛目の輪をぐるりと描くというより、躍動感や力強さをうつわに刻みつけていくような手。
きらきらとした釉薬ものではないので一見地味に見えます。
しかし、グレーや明るい茶色、濃い赤茶など滋味豊かな色と表情を湛えどんな料理も美しくおいしそうに見せてくれますよ。
土と釉薬の描く景色も様々。
シンプルにかっこよく、余計なものはそぎ落とし、土の可能性をとにかく追求したのが井上さんの土刷毛目だなと個人的には感じます。


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こころの風景|井上茂 個展
2022/11/3(木・祝)-13(日)
12:00-18:00
▽2日目からは入場自由(予約不要)

会期中休 4(金)、8(火)、9(水)
最終日11/13(日)のみ16:30終了
- クレジットカードのご利用が可能です
2022-11-07 18:38:00

出展作品紹介 緑灰釉ドラ鉢 5寸/4.5寸/3.5寸

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《11/3-13 井上茂個展開催中》

展覧会4日目、本日もお越しくださった皆さま、ありがとうございました◎
平日となりましたが、終わってみれば入れ替わりでお越しくださるお客様が多く、あっという間に閉店時間を迎えました。
神戸では初の井上さんの展覧会ということで
「神戸で展覧会があると知ってからずっと楽しみにしていました」
というお声も頂き本当に嬉しく、ありがたさでいっぱいです。
明日・明後日の、11/8(火)と11/9(水)は休廊となりますのでご注意くださいね。
11/10(木)よりお待ちしています︎。

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早くも井上さんの定番になりつつある、ドラ鉢型のうつわ。
縁がほぼまっすぐに立ち上がった、見込みの底がフラットな浅い筒状の鉢です。
灰釉のドラ鉢は、口縁が端反り型になっているものと、そのまま面を取ってあるだけのものと、ディテールに個体差がありますので、お好みでお選びくださいね。

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平形の鉢のようなフレーム効果はありませんが、浅めなのでお料理の顔が見えやすい鉢です。
炊いた煮物やサラダをたっぷりと盛りつけてもいいですし、逆に中央に高さを出して少量を盛っても絵になります。
5寸サイズでしたらチーズやハム・サラミなどのオードブルを盛り合わせたり、お漬物やおかず、お刺身などを三種ずつくらいを置くように盛り付けるのにちょうどよいので、「とりあえずこれ食べておいて」な一皿がすぐできあがります。
4.5寸、3.5寸は副菜や果物に。
茶席や懐石料理にもよく使われる形なので、菓子皿として和菓子を一つ、二つ載せてみると、良い意味で改まった気持ちになって、ゆっくり味わいながらお茶の時間を楽しめそうです。
フラットな底に広がった、豊かな緑の世界。
井上さんだからこその釉薬の世界です。
日差しを受け明るく照らされた湖沼のような緑、木々が重なった森の奥のような深い緑、水面が波立ち泡立ったような緑など、皿や浅鉢などの釉溜まりを作るシリーズとはまた違った釉薬の世界を楽しめます。
料理を盛りつけるわずかなひとときも、 澄んだ緑の釉を眺めることで楽しいものとなりそうです。


こころの風景|井上茂 個展
2022/11/3(木・祝)-13(日)
12:00-18:00
▽2日目からは入場自由(予約不要)
会期中休 4(金)、8(火)、9(水)
最終日11/13(日)のみ16:30終了
- クレジットカードのご利用が可能です
2022-11-06 18:27:00

出展作品紹介 灰粉引小鉢

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《11/3-13 井上茂個展開催中》

展覧会3日目にお越しくださった皆さま、ありがとうございました。
北野坂や周辺の坂をのぼって坂の上の百職にやって来ると暑さを感じるといった方も多かったですが、来週からはまた秋が深まってくるようですね。
室内も少しずつ暖かくしてお待ちしています。


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久々の黒背景撮影。
平茶碗を小さくしたような小鉢です。
井上さんには珍しい平形(ひらがた、ひらなり)の形状。


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小ぶりですがきりりと美しい佳品で、私もお気に入り。浅めの見込みで、直線状に立ち上がり、口縁が広がっているのでお料理の顔がよく見えます。
浅めとはいっても、ドレッシングやソースをだしをかけるようなお料理にも十分お使いいただけるので汎用性も高し。
中央にふわっと高さを出しながら料理を盛り付けると、周囲のうつわの地肌が余白となってメリハリが生まれます。
平形は実用的、機能的でありながらも、とても盛り映えのする美的要素も兼ね備えた形です。


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見込みは、まるで夕空のようにたなびくオレンジ色のグラデーションの濃淡が印象的。
盛り付けの際には、ちょうどこの夕空のような釉調がぐるりと輪をかけるようになって料理が引き立ちます。
そして食べ終わると、釉溜まりの美しい緑がきらめきながら顔を覗かせてくれます。
せわしない毎日を送ることも多いですが、お腹が満たされたら、ちょっとひと息着いて、食後の余韻のひとときを味わうのも大切。


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こころの風景|井上茂 個展
2022/11/3(木・祝)-13(日)
12:00-18:00
▽ 2日目からは入場自由(予約不要)
会期中休 4(金)、8(火)、9(水)
最終日11/13(日)のみ16:30終了
- クレジットカードのご利用が可能です
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