白秋ふわり
白秋ふわり Playing with shapes and colors 平野日奈子 陶展
2025/9/6(土) - 21(日)
12:00 - 17:00*
休廊日 9/9(火)、10(水)、16(火)、17(水)
- 最終日の9/21(日)のみ16:30終了
- 事前予約制ではありません
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6年ぶりに岐阜県多治見を拠点に活躍する
陶芸家 平野日奈子さんの展覧会を行います。
彼女と顔を合わせたのもそれ以来。
久しぶりに多治見を訪ねた。
知り合ってから10年以上経った。
お互い歳を重ねたからなのか、仕事の話題以外に、
健康のこと、実家の家族のことも話題になった。
その流れで、平野さんが陶芸の道に進まれた時、
ご家族はいったいどんな反応だったのだろう、と今更ながらふと気になって聞いてみた。
「そうですね、子供の頃から美術が好きで、中学校から美術系の学校に進学したからかな、陶芸に関してもあまりどうという感じでもなかった記憶があります」
そこからは美術系の中学校ならではの豊富な美術教育の授業──学校全体で行う美術・芸術科目の時間があったり、
絵画・デザインから、
ろうけつ染めなどの染色科目といった
少し珍しい工芸系の授業での楽しかった思い出を、彼女からお聞き出来た。
学生時代から長いこと美術に親しみ平面世界の基礎を身につけ、
陶芸という立体世界に取り組む現在に至っても、
彼女は遊ぶように軽やかに、
その創造世界を変化させ拡大させ続けている。
代名詞だった粉引から、
青みがかった緑のコバルト釉や青に黄色という色釉のうつわへと、
新たな色の世界を広げている。
シンプルな丸皿だけでなく、
オーバル、長四角、八角形、細長のだ円、ちょっとラウンドした四角形などのうつわ。
円柱から作ったという箸置きや筆置き。
どこか抽象的な面影を漂わせる動物たちの像。
工房で見た近作たちは、
既存の枠からしなやかに柔らかに踏み出していく様子、
限りない発想の自由さこそが平野さんの最大の個性だと私に教えてくれた。
季節は秋のはじまり。
空気は心地よく爽やかになり、軽やかに晴れやかになれば天高く澄み渡る秋空にも手が届きそうだ。
平野さんの形作るものは、頭や心、
固定概念を柔らかく軽くする。
私や観る人も一緒になって愉しみ遊べる世界。
軽やかになり、ふわりと秋に触れよう。