読み物
With a warm feelings ①
呼吸すること 揺らぎのかたち
序
私の母方の祖父母は、
絵に描いたような寡黙な職人の祖父だったが、
「1ミリもぶれない仕事を人間がやるのはすごいことだけど、
人がやるどんなものにもそれぞれ違う僅かなぶれや歪みがある。
それぞれ違う僅かなぶれや歪みにも臨機応変に対応できるのが人の
誇っていい仕事だと思うんだな。
三脚立てりゃあきっちりした写真が撮れるが、
揺らいだ写真には撮る人の呼吸も写っていて、
そういうものかと聞いていて、今ではすっかり刷り込まれた話だ。
あれから時代は移り変わってはいるが、
原料からガラスを自家調合し、
端正な磁器を手がけていた感覚が生かされた、
どちらも強い作家性や主張を声高に叫ぶ作風ではない。
それぞれが作るものの中に現れる独特の「揺らぎ」
じっと見つめると見えてくる、耳を澄ますと囁いてくる。
フォルムや質感、色合いの揺らぎは、