読み物
境道一・境知子 LIFE ②
一問一答|境道一さん編
一問一答|“人が見ていない所程丁寧に”
展覧会作家さんのことを少しでも知って頂きたいという思いからのご紹介記事。
このコロナ禍で工房にお訪ねすることは控えていますが、今回もその中で少しつくり手さんたちの素顔に触れて頂いて作品に触れる入口を増えたらいいなと考えています。
今回はまず一問一答形式で、いくつかの質問を道一さんと知子さんに投げかけてみました。
制作についての考え方や日々の過ごし方、言葉だったり文章の間合いだったりからもちらりと素顔が垣間見え、今回も興味深いものになりました。
ご夫婦ならではのお答え、ご夫婦それぞれの違いにもクスッと微笑んでしまう部分があって、お二人とも人間的にもとてもチャーミングで素敵だなと再確認しました。
また、お二人のいつもの目線が知りたいと思い、作業場で気に入っている風景や愛用の道具のお写真を送って頂きました。
道一さん撮影。「仕事場の横にいる愛犬。かわいいんです」名前は茶々。寒い季節の窯焚きの際には窯前の一番暖かい場所に陣取り気持ち良さそうに寝そべる様子がよく道一さんのSNSに投稿されていて愛らしい。でもよその人にはあまり慣れないらしくそれもまた愛らしい。
質問1
自身の制作をする上で、もしくは日々暮らす中で大事にしている本(映画や映像でも)はありますか?もしくは仕事をしている時によくかける音楽などはありますか?
道一 ―本は弟子時代に集めた図録です。好きな美術館の図録や室町、桃山時代の陶器の図録です。音楽は手当り次第に気分で聞く感じです。クラシックからレゲエまで天気や気分で。
質問2
座右の銘や好きな言葉、大切にしている言葉があったら教えてください。
道一 ―父親が言っていた言葉ですが、「人が見ていない所程丁寧に」です。
質問3
手仕事のものでご自身で大事にしているもの、使っているもの、(所持はしていないけれど)記憶に残っているもの、いずれか教えてください。
道一 ―師匠が作った徳利です。もう他界してしまった師匠が弟子時代に気に入ったのが焼けたからと、選んで頂いた物です。
質問4
今回制作されている中で、特に力を入れている作品、楽しんで作っている作品、ご来店の皆さんに注目してほしい作品があったら、教えてください。
道一 ―一つ一つ考えて作って考えて窯に入れています。どれも同じで力を入れてます!もちろん何を作っていても楽しいです(笑)見て頂きたい所ですが薪の窯にしか出せない色や雰囲気が必ずあると思っています。
質問5
今回の二人展。改めてお互いの作品についての印象を教えてください。
道一 ―窯、土、釉薬と二人共にそれぞれが一人の焼きもの屋として表現しています。一人で出来ない所をお互い助け合っている、そんな感じです。薪窯が好き!という芯の所は同じなので日々お互い様ですね。
道一さん撮影。愛用の道具の写真をお願いしますと頼んで届いたのは「窯ですね、やっぱり」という言葉を添えたこの写真。長野から香川へ移転され2016年の秋の終わりにお二人で一から作った穴窯。この隣には先に作られた倒炎式窯(やはり手製)があります。