読み物

井上茂 風に吹かれて ②

井上茂さんへの一問一答 /「旅」「これから」について

井上茂さんへの一問一答


井上茂さんとはどんな作り手でいらっしゃるのか。
ご紹介のためのインタビューを以前まとめました。
ぜひこの機会にご覧ください。

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「『僕の〈井上茂〉っていう意味が無くなっちゃうって思っている』井上茂さん、語る」 
その1 https://tenonaru100.net/photo/album/1141646
その2 https://tenonaru100.net/photo/album/1141647

その3 https://tenonaru100.net/photo/album/1141648
その4 
https://tenonaru100.net/photo/album/1141839


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井上茂さんへの一問一答

通奏低音のように。
それは物事の底流に在るもので、気付かぬうちに知らぬ間に、もの全体に影響を与える。「もの自体」だけではなく、根源となるその作家自身の存在は欠かせない。それだけに作品のみならず出展作家さんのことを少しでも知って頂きたいという思いがいつもあります。
簡潔な一問一答ですが作家さん自身からの誠実な言葉と考えをお読み頂きながら、作品を紐解く手助けや愛着を深めていく入り口になれば幸いです。
今回は展覧会のタイトル〈風に吹かれて〉から連想した質問にお答え頂きました。
また井上作品に欠かせないものとなってきた、絵付作品を担う妻の千鶴さんにも一部お答えいただきました。


質問1
子供時代は、どのようなお子さんで、どんなことに興味をお持ちでしたか?

───1人遊びが好きで、綺麗な石を集めたり化石を見て太古の浪漫に浸ったり。魚釣りも好きでしたね。


質問2
仕事から離れ、ご夫婦二人で旅行するとしたらどこへ行き、何を楽しみたいですか。

───(井上さん)北欧の森で、身のまわりにあるモノでテントを作りキャンプがしたいです。
───(千鶴さん)出雲大社に行った事が無いので行きたいです。


質問3
今まで訪ねた中で、最も印象に残っている場所はどこですか。

───(井上さん)奈良県吉野の修験道本山金峯山寺の蔵王権現。
───(千鶴さん)長崎の平戸の教会。


質問4
井上さんは今年で陶歴15年。2年後には新たな年代へ突入されますが、夢や目標、新たに挑戦したいことはありますか?

───海外、アメリカなどで教えながら、現地の土で陶芸をやってみたいです。海外に滞在することで更に日本の良さが分かる気がします。


質問5
気分転換や切り替えがうまくいかない…というお悩みを持つ方もいらっしゃいます。井上さんはふだんから心がけている気分転換の方法はありますか?

───寺社仏閣に行ったりして感謝の気持ちを伝えたり、日本の歴史に触れたりする場所に行ってます。


質問6
過去の井上さんのように、希望や不安が入り混じりながらも陶芸の道へ進もうとされる方はこれからもたくさんいると思います。そんな皆さんへアドバイスをするとしたら?

───どうなんでしょうか。自分は陶芸を生業にするつもりでは無かったので好きな事を夢中になってやってた事が流れのままにそうなった感じです。好きな事を夢中にやれば苦労やキツイ事も出来るんだろうとは思います


質問7

井上さんにとって「プロフェッショナルな陶芸家」とはどのようなものですか?

───プロ、アマとでニュアンスが違うとは思いますが、(プロ)は一つの事を深く調べ実戦して、次に繋げていく事で社会に役立てる事ですかね。ただ、光悦(※1)や半泥子(※2)の様なアマチュアニズムは誰の評価も関係無い、自分が好きな物作りがプロアマとか関係無く自由奔放で既成概念に捉われないので、人を惹きつけるモノがあると感じます。


※1 光悦
本阿弥光悦(ほんあみ・こうえつ)。桃山時代から江戸時代前期に活躍した総合芸術家。家業は刀剣鑑定や研磨を行っていたが、それよりも書・陶芸・漆芸・能楽・茶の湯・作庭など様々な分野に携わり、優れた功績を残し、後世の日本文化に大きな影響を与えた。

※2 半泥子
川喜田半泥子(かわきた・はんでいし)。明治初期に生まれ実業家として活躍する一方、陶芸は趣味として嗜んでおり50歳過ぎてから本格的に作陶するようになった。陶芸界で「東の魯山人、西の半泥子」「昭和の光悦」と謳われた異才。



井上 茂(いのうえ しげる略歴
1968年 愛知県生まれ
2010年 常滑市にて独学で作陶開始
2016年 独立開窯

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