読み物
ととのえる その空気、風景、姿勢 ②

作家紹介 岡健二さんへの一問一答
今回初めて展覧会に参加してくださる大分県中津に工房を構える、ときわ製作所 岡健二さんとはどんな作り手でいらっしゃるのか。
ご紹介のため一問一答をお願いしました。
ぜひこの機会にご覧ください。
岡健二さんへの一問一答 /ととのえる、そのほか
通奏低音のように。
それは物事の底流に在るもので、気付かぬうちに知らぬ間に、もの全体に影響を与える。「もの自体」だけではなく、根源となるその作家自身の存在は欠かせない。それだけに作品のみならず出展作家さんのことを少しでも知って頂きたいという思いがいつもあります。
簡潔な一問一答ですが作家さん自身からの誠実な言葉と考えをお読み頂きながら、作品を紐解く手助けや愛着を深めていく入り口になれば幸いです。
今回は展覧会テーマにちなんだ「ととのえる」から連想されることへのご質問を中心にお聞きしてみました。
質問1
はじめましての方に向けての、経歴とは違う自己紹介をお願いします
───この仕事に就く前は7年間ぐらい郵便配達をしていました。毎日同じルートをカブに乗って回ります。そのうち何か残るものを作る仕事がしたいと漠然と考える様になり20代後半2006年に佐賀県有田の焼き物の学校に入りました。2年間の学校を終え焼き物の工場に就職しました 工業製品でもものを一から作りあげる工程に携われるのは嬉しかったです。しかし有田の作家さんと会う機会も多くその生活スタイルに単純に憧れてもいました。工場の小さな窯を借りて製品を作って有田陶器市などに出品していました。2015年に大分県に移住して現在に至ります。注文品を作り全国のお店に卸しています。
質問2
子供時代はどのようなお子さんで、どんなことに興味をお持ちだったか、思い出などをお聞かせください
───80年代に少年時代を過ごした身にとってはその当時子供たちを取り巻くカルチャーは最強だったように感じます。秘密基地作りやこま回しといったアナログな遊びもあればファミコンも発売され少年ジャンプは黄金時代を迎えキンケシにビックリマン、テレビをつければ歌番組にお笑い、洋画劇場を見た次の日には学校や近所の友達とまねをして遊びます。そんな荒波を私は特に何も考えず漂うように生きていたような気がします。
そんな自分が自発的に始めたことがあります。道路に刺してある赤や青のボタンの様な丸い鋲(測量鋲)を登校中に全部踏むというものです(下校時は寄り道や遊びに発展する事が多いので通学路を通る登校中のみです)。赤は2点、青はマイナスといった具合に決めてジグザグに歩き登校します。遅刻しそうな時は大変で、走りながらも鋲を踏み一ヶ所群生している所で毎回足止めされます。近所の人から見たら大急ぎで走って来るお子が急に焦り顔で地団太踏んでる様に見えたと思います。そんな子供時代でした。
質問3
今まで訪ねた中で、最も印象に残っている場所はどこですか。その時の思い出もよかったら少し教えてください
───印象に残っている場所は北海道の雪原です。19歳の時に一年間北海道の牧場に住み込みで働きました。九州出身の私がなぜ北海道まで行ってバイトをしたのかというとその直前に『北の国から』を一気見したからです。実際行ってみると生き物相手なので休みは無く朝早くから夜中まで仕事があります。冬は特に寒い地域で-30℃近くなります。放牧をしない飼い方なので景色もすぐ見飽きます。その家には大きな柵で囲ってシベリアンハスキーを一匹飼っていました。顔が怖いのでいつも横目で見るだけでしたが、ある日柵の間から手を入れ撫でてやるととても喜んだので散歩させたいと申し出たところ、その犬は散歩した事が無いらしく逃げるともう戻って来ないかも、との事。牧場の向かいはゴルフ場で冬の間は閉まっています。道を超え、誰も居ないゴルフ場に入って(ほんとはダメですが)綱をしっかり握り坂を駆け上がります。雪の積もったゴルフ場はどこまでも白の曲線です。しばらく犬と走り回り丘の上からいつもいる牧場を見下ろしました。俯瞰で見るそれはいつもよりすこし狭く感じました。
質問4
工房やご自宅などのDIYや整理整頓は好き(或いは得意)ですか?また、制作作業に入るためにある程度は場を整える必要もあるかと思いますが、気を付けていること、大事にしていることはなんですか?
───現在古い家に住んでいる為DIYはもっぱら修理になります。少しでも快適になったり便利になるとDIY特有の快楽物質が出ます。気分転換にとても優れてます。道具を少しずつ揃えるのも楽しいです。
質問5
感情が乱れた時、落ち込んだ時の「心の整え方」は?
───「心の整え方」ですが心が乱れることが多いので皆さんの答えを参考にしたいですが、自分はとりあえず犬の散歩に行きます。なにも考えない様にして足元1メートル先に集中します。すると巨大な玉乗りをしている感覚になります。
質問6
ものづくりを新たに志したい方に向けて、これは大切だよということを一つ挙げるとすればなんでしょう?
───これからの人に助言する立場ではないですが、くじけたとしても何も考えられなくても手をうごかし続けるということが何かに繋がると信じたいです。
質問7
これまで皆さんは一定期間継続して今のお仕事をされてきたと思います。自分の力でものごとと向きあい続ける中でご自身が学ばれた一番大きなものはなんでしょうか?
───焼きものは生活するうえで急に必要になったり買いたさなくてはいけないものではありません。いま持っていてあるものでも生活はできます。なので花を買ったり絵を買う事と近いかもしれません。生活に新しい風を吹かせる一つの手段のような存在だと思ってます。そして仕事をしていくうえで大事なのは人との出会い繋がりかなと思います。自分は人付き合いは得意な方では無いですがひとつひとつの出会いを大切にして自分も何かを与えられるひとになっていきたいと思っています。
質問8
これから迎える春の季節で一番好きな食べ物と、もしそれについて思うことがあったら教えてください
───季節でこれを食べたいと思う事はあまりありません。夏はビールが飲みたいなと思いますがお腹が弱いので辛抱してます。かつ丼は一年中好きです。
岡 健二【おか けんじ】略歴
1977年 福岡市生まれ
2006年 佐賀県有田町の窯業学校に入る
2008年 有田のやきもの工場に勤める (空いた時間で自分の製作も始める)
2015年 大分県の中津市に移転して製作する 現在に至る