2021.05.12 Wednesday

読み物

やきもの、益子、近藤康弘 ⑤

  • 近藤康弘さん、語る。/ 後篇

    small工房台所.JPG


    “人生の第三の変化というか、わくわくしてます”


    今回2年ぶりに個展をして頂く益子在住の近藤康弘さん。はじめて知り合ったのは2012年だったと思いますが、そこから8年。

    折しも世界中で新型コロナウイルスが広まり変化を促される私たちの暮らし。

    この状況下。近藤さんご自身もあえて変化を求め10年以上過ごした工房から旅立ち、新たな工房へと向かうことを決めたそうです。

    人生で3回めの変化と言えるかもしれないという今。
    改めて今までの道のりを振り返りながら、今後に向けて胸を弾ませる気持ちを近藤さんに語ってもらいました。


    small桜02.JPG


    生まれて初めてのやつと、ここ1週間で二つも見たってことですごくわくわくして

    まあ引越ししようって思ったのはやむを得なく出てきたことで。
    コロナの影響で春先に緊急事態宣言が出て、その時に今の自分の工房をお金をかけてでも直そうって思って。
    業者さん頼んで窯小屋も作ってもらおうとか。お金を借りる段取りまでして。床も剥がしコンクリ流そうとしたけどなんせ大変で。
    緊急事態宣言の出た時は散歩したり筋トレしたりけっこう健康的に過ごしてたんです。
    でも梅雨に入ってからおかしくなって。本当に太陽が出てなくて毎日こうね… 益子も他の人もこうカビが出たりして、自分とこも(前から問題にしていた)例のかなり湿気がすごいところだから手に負えない感じでだめになってきて。もうそれで気持ちが参ってしまって。個展も中止になり。

    なんとか現状を変えたい、どうしようってなった時に、今の工房から離れて新しく探そう、家を建てよう、土地を探してって思って。そこからいろいろな人に聞きまわったり探して始めて。
    でもなかなか気に入る土地、物件はないなって気づいて頭がクールダウンしていくわけなんですけど。

    そこから一週間くらいしたらふと新しい物件の話が来て。携帯の電波も入らないような水道も通せない、益子のはずれにあるほとんど山の中みたいな。ただ隣近所もすごく離れているから権利関係も心配ない。
    それに植物も増えてきて、そいつらも連れていきたいなって。で、そこの場所はぴったりで全部持ち込める場所で。だからもう植えたい放題です。住居スペースは完全に密閉されてて虫とかも入らないようになってて、それで奥さん安心かなって。

    ただ、3日くらい前に行ったらその虫が入らないはずの部屋の中にゲジゲジのむちゃくちゃでかいやつがいてて。調べたらゲジゲジって2種類しかいなくて、そのオオゲジってほうのやつで。西日本〜九州しかいないはずなのに益子の部屋の壁にいてて。

    自分でも生まれてから見たことない12センチくらいの。楳図かずおの漂流教室に出てきた気持ち悪い虫そのものっていう。そんなん出て。まあやっつけたんですけどね一撃で。でもまた改めて調べたら益虫で。可哀想なことしたなと思って。
    で昨日は昨日で玄関の横に鳥が一羽死んでて。お亡くなりに。それがまた見たことない種類で。また調べたらトラツグミっていうレアなやつで。それが何故かお亡くなりになってて。そのトラツグミはヌエっていう妖怪のモデルじゃないかって言われてて、鳴き声が。夜中に悲しげに鳴くような。
    姿は可愛くてきれいだったし、お亡くなりになってて気の毒でしたけど、生まれて初めてのやつと、ここ1週間で二つも見たってことですごくわくわくして。

    small桜.JPG

    ○環境の変化でいいように作るものが変わったらいいな


    人生の第三の変化というか、わくわくしてます。環境の変化で作るものも変わるんじゃないかっていうのを、やきものの学校の先生が昔言ってたんですね。
    今回の環境の変化でいいように作るものが変わったらいいなと思ってます。


    あと新しい場所んとこなんですけどね。山があって道路挟んで川の上流、1メーターくらいの幅の川が流れているんですけど、その川の音がなかなかいいです。落ち着くっていうか。

    小鹿田焼を見に行った時に見た唐臼がいいけど俺には縁がないなあと思ってたら、今度の新しい場所なら唐臼も作れるかもって企んでんですよ。
    薪窯も充分に作るスペースもあって、もうここら辺に作ろうかなって決めてて。で最近ちょっと松を切り出してる現場が益子でもあって。そこで安く売ってもらってもう薪を集め始めています(薪として使えるようになるまでは半年から一年乾燥させる)。
    仕事場のレイアウトも変えていきたいですし、わくわくしますね。もう知らず知らず今の仕事場もどんどん溢れてしまって、動線が確保できなくなって身動きができなくなってて。昔の写真見直した時に全然違うなって。もっと物が少なくて機能してた。コロナの影響で自分を見つめ直した時に物を減らそうって。

    これから工房と家が一つになって。来年から新たに近藤窯にしようかなと。kondo potteryで、漢字では近藤窯。新しいノートパソコン買って、でメールアドレスもkondo potteryで新しく作っちゃったんで(笑)
    本当に今とこれからにわくわくしてますね。


    近藤康弘(こんどう・やすひろ) 略歴
    1978 大阪府千里に生まれる
    1997 京都で陶芸を学ぶ
    2004 栃木県益子町 榎田勝彦氏に師事
    2009 益子町にて築窯、独立

    small土こね02.JPG

     

1