読み物

森谷和輝 整音 ①

整音

整音


難しいことなんてなにもない。

食べたい料理を作る。
うつわを選び盛りつける。
草花に目を留める。
空間を眺めてあしらう。

そこにも日々を何気なくうつくしくするものがある。

徒に多くのことがある時にこそ。
いま、この時間を編むように。
日を満たす。

目の前のガラスを午後の光が透過した。
水の中にゆっくりと翳を落としていた。

澱んでいた熱をほどけば、ありふれた眺めの中のうつくしさに目が止まる。

調律と整調と、そして整音。
音色や音の手触りを整える。
ひらかれた夏の季節へと向かっていく。

ガラスのしぐさや動きを映し取り、かたちを生み出していく森谷和輝さんの仕事。
この夏も愉しんで頂けますように。

1