読み物
As it is. ④
高木剛さんへの一問一答
通奏低音のように。
それは物事の底流に在るもので、気付かぬうちに知らぬ間に、もの全体に影響を与える。「もの自体」だけではなく、根源となるその作家自身の存在は欠かせない。それだけに作品のみならず出展作家さんのことを少しでも知って頂きたいという思いがいつもあります。
簡潔な一問一答ですが、そこには作家さん自身からの誠実な言葉と思いがあります。
作品を紐解く手助けや愛着を深めていく入り口になれば幸いです。
質問1
この数年、高木さんが大きく変わったのは、
-30歳過ぎで京都市京北町で独立しました。30代後半あたりから薪窯での焼成にもっと力を入れていきたいと考えるようになり土地を探し始めました。うきは市は移住する前に旅で訪れたことがあり、気になる作家さん、お店をたずねて話しを聞かせて頂きました。
意外と交通の便が良く、作家としての活動のしやすい点や、食や地下水が豊かで生活の面も環境がよく子育てもふくめ、自分たちに適している地域だと強く感じました。その後、築窯するのに適した土地との出会いがあり移住をきめました。
質問2
高木さんがうきは市に移住され、自身のアトリエギャラリーと奥様の瑞枝さんのパンを販売する「李椿」をオープンさせたり、 地域のイベントへの参加など、以前よりも更に地域や社会との関わりに対して行動をされるようになってきておられるのかなというふうに感じます。
今後も作家業が大きな軸だと思いますが、作品を発表する以外の視野も持たれていますか?
-自分の作品の展示販売と妻のパンを販売する場所として、2023年3月に李椿(りちゅん)をopenしました。その月の制作スケジュールに合わせて営業日を決めているのでopen日は不定期で、5日間ほどです。
食やお茶と絡めた企画や古物と組み合わた展示など考えています。
質問3
高木さんとのお電話での話の中で、作品制作において「自然体でいられるように」というワードがあったのですが、高木さんが思う「制作での自然体」「自然体の作品」とはどういうイメージですか?
-言葉で表現するのは難しいですが例えば、ろくろ挽きでいうと押さえつけた形で無く、おおらかな形が好き。土にも個性がありますからそれを素直に形にできたらと思っています。
質問4
日々考え制作しながらも最終的には火や自然環境にゆだねるような形の陶芸が、高木さんの制作スタイルかなと思うのですが、今後もその姿勢は変わらずですか?
-変わらないと思います。
質問5
以前から高木さんが唐津、李朝や高麗のやきものがお好きであること。そして自ら土を掘り、薪を割り自作の窯での作品づくりもされています。多くの先人たちの足跡を学びながら現代に生きる高木さんが今の時代を映したやきものを表現するのに、一番大事にしていることはなんですか?
-古きを見て、学ぶ姿勢は作り手として軸に持っていたいです。自分のスタイルは写すというより、そこから感じた事を現代の生活に取り入れやすい器として
バランスを考えながら制作しています。
高木剛さんの暮らすうきは市吉井町に流れる巨勢川。