読み物

Fail better,Wonderful happens. ①

惜しくも世に出されなかったものたち

惜しくも世に出されなかったものたち


【私たちは物の中に何を見て、どう価値を見出し、寄り添い、共感し、選び取るのだろう?】

フィンセント・ファン・ゴッホの絵画「星月夜」。
当時ゴッホ自身は、これは抽象絵画の失敗作と周囲に告げ、売りに出すことなく自分の手元に置いたままにしていたそうです。
しかし歳月を経て日の目を浴び、深い精神性や星降る青の夜空の自然美は広く愛されるものとなっています。

これまで訪れた作家たちの工房でも、世に出されないままの品々を幾度も目にしてきました。
そこには完品とはまた違った不思議な存在感や魅力がありました。

完成したものの強度や使い易さ、デザイン等、公共的観点から商品には適さないと判断しはじかれたもの。
ゆがみや割れが生じたり、制作過程で色や佇まいが計算外だったもの。
遥か修業時代に自由な感覚で制作し、そのままお蔵入りとなったもの。

世に出せなかった作品は決して無駄にはなりません。
タイトルのFail better(前より上手に失敗すればいい)の「失敗」は、ブラッシュアップへと繋がるものです。
失敗しても前よりきっともっと良くなる。
本展は、世に出せなかった作品群から作家自身が選んだ二つとない特別な魅力を発しているものたちを集めます。

また販売は「お品の金額をご来場の皆さま自身に決めて頂く」方式の展覧会とします。
たくさんの物、情報、そして価値観に囲まれる現代社会。
本当の意味で、自身の価値観で選び取り、自らの眼で目の前のものと向き合うことが難しくなってきているかもしれません。

世には出されなかったものとの邂逅を通じ、誰のものでもない「自身の中に存在する価値観」との新たな出会いと再発見。
ご来場の皆さんと作家と百職が一緒になって作り上げたいと企画した、体験型・参加型の催しです。

素材や技法もそれぞれの11名の作り手たちの、惜しくも世に出されなかったものたち。
皆さまの価値観を新たに刺激し、誰かの心に響くものがあるようにと願っています。

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