読み物

土居祥子 つながり/循環 ②

walk

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今回の展覧会では、近作のショルダーバッグ〈walk〉が登場する。

土居「walkは、息子の送り迎えのときにスマホと鍵を持ち歩くために欲しくて作ったポシェットです。昨年の夏前頃から作って使いはじめて、すでに私の日々の暮らしの中でよき相棒となっています。walkを生み出すときに考えていたのが、トートバッグたちを作るときに出て、たまる一方だった端革を使って作りたいなということ。小さいバッグなので1つのパーツでできるのですが、大きさの異なる3つのパーツを縫い合わせる仕様にしているのは、このためです」

私自身も、仕事のリフレッシュに家から5分の京都御所でのぶらぶら散歩は欠かせない。
運動という意味ではちょっと足りないかもしれませんが、気分転換にはぴったり。
たくさんの荷物は必要なくて、ハンカチと鍵と小銭があればいいくらい。

新作のミニショルダーのwalkは、旅先などにもぴったり。
朝食はホテルや旅館内のレストランへ…なんてこともよくありますが、最低限のものだけ身につけて出かけたい時に。
早起きしてちょっとその辺をぐるっとしようか、なんて時に颯爽と身につけたい。
ミニマムな用途だけに絞ったスタイルで、男性にもぜひ見てほしいモデル。

土居さんも
「walkは男性にもぜひ」
と。
ショルダーストラップは結ぶ位置を調整することで使う人のお好みで長さを変えられるようになっており、身長165cmの土居さんの場合は付属のストラップを調節して身につけているとか。
ちなみに長めがお好みの方や、身長体格が大きい方などにも対応できるように、もう少しロングタイプのショルダーストラップもご用意してくれているとのこと。

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歩く時間。

家に籠もってものを作る日々の中で、外に出て歩くことは心身ともによいリフレッシュの時間になっています。
私にとっては息子の園への送り迎えが歩く時間。
その日の天気や湿度、風の様子でいつもの道にも、毎日新しい発見があって自分が美しいなぁと感じる音や景色も日々それぞれで。

とくに1日の作業を終えて歩いてお迎えに行く夕方は夕陽の光と涼やかな風が心地よく労ってくれているかのようでとても好きな時間です。
持ってゆくのはスマホと家の鍵。
ときどきティッシュ (息子の鼻水がひどいとき)。

歩くときに必要なものだけをさっといれて軽やかに持つ小さなポシェットを新しく作りました。
名前は「walk」です。

(土居祥子さんのInstagramより引用)

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土居祥子さんの手掛けるラインナップの中で、バッグはとりわけ等身大というものを大切にする姿勢を感じる。
彼女は、フィレンツェにある皮革職人の養成学校〈scuola del cuoio〉に短期留学し、鞄作りの基礎を学んだ。

土居「そこではクラシックなハンドバッグの作り方を学びました。型紙の作り方から、どういう芯材を入れるかとか。工作みたいで面白かったんですけどね。厚紙みたいなのに革のシートみたいなのを貼って、その上に更に表にくる革を貼ってとか、スポンジみたいなのを切ってそれを貼ったり入れたり。面白いんだけど、なんか…もっと革だけでシンプルにバッグ作りたいな、と。(中略)私が作りたかったのは結局、くたっとした体になじむようなトートバッグでした」

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二人のお子さんと旦那さまと、そうした家族との飾らない日々の暮らしについて土居さんからしばしばお聞きすることを通して、それが彼女を人としても作り手としても慈しんでくれているのを実感する。
家族とのお出かけや散歩、旅、季節ごとのオケージョンシーンに身を浸す時間の中で、こんなものがあったらというふとした芽生えが、ものづくりへとつながっている。

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日々の暮らしの中で、自らが欲しいと思えるものは、嘘がないし無理がない。
作り手自身が思い描いていたものを形にした時。
手で触れ目で見て〈心地よい〉と、こころから思えるものを、ほしいという人に手渡せるというのは、作り手自身を幸せにし、安心で包むだろう。
更には自身が作ったものを、使う人の希望に応じて、修繕することもできる。
自分の喜びが誰かを喜ばせ、誰かの喜びが自分の喜びともなる。

ものづくりは、喜びの巡りを生み出せるのかもしれない。
それはどんなに、生きる希望や喜びを自分に与えてくれるだろう。

手を動かすことによって、自分自身を受容し、安心と幸せをその身とこころにもたらすという、うつくしくも眩しい循環を、土居さんの中に見ている。

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