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森谷和輝さんとガラスと ⑥

A piece of artwork with glass 作品紹介及び考察 後篇

A piece of artwork with glass 作品紹介及び考察 後篇

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青のうつわ.JPG
05 考察④ The case of other そのほか ―青のシリーズ、花器や照明、装身具


技法ごとに分けたのとはまた別に少しだけ触れておこう。

2018年の三人展の時に実験的に試みた青のシリーズのガラスたち。第一便で届いたのは小皿と、深さの違う角皿二種。
このブルーのもとになっているのは銅。陶芸の世界でも青の釉薬の中に銅を使うことがある。凹凸が現れていなかなかワイルドな表情も新鮮。青の角皿はとても印象的なのでテーブルの主役に。和洋中問わず。

次に、今回百職での展覧会では久しぶりに装身具の作品を寄せてくれた。
バーナーワークでのペンダントはかなり昔から作っている。しずく型のdrop、菱形のdia、四角いbaseの三種。極小のボールチェーンがガラスのきらめきと呼応しているかのよう。
キルンワークでのブローチcoin broochは、whiteとsilverの二種。silverは裏側に銀彩が焼き付けられている。それぞれが霧の日と曇り空を閉じこめたような色と質感。年齢も性別も問わず着けて頂ける。
ピアスのthinは本当に薄く、そして軽い。薄氷のようであり、まるで舞い落ちる花びらのよう。身に着ける前から特別感を抱くような作品。

アクセサリー.JPG
花器は二便以降でほかに届くようだが今回はsei Lと、フォールグラスを大きくしたようなfall vaseがある。水のかたまりのようなseiのLサイズはいつも展示では人気がある。fall vaseは展覧会ならではの一点物の大きい作品でガラスの透明感と確かな存在感が際立って美しい。主役の風格。

花器.JPG
シェード.JPG


最後に照明のowan shade。無機的なパーツを使用しておりモダンな現代住宅に似合うだろう。百職の古い町家空間の漆喰壁にも静けさという点でとてもよく調和していて雰囲気のあるコーナーになり得た。点灯させるとオレンジ色のあたたかな光で満たされ、点灯時と消灯時と異なった雰囲気もたっぷり楽しめる。


そのほかにも定番の作品や大きなオブジェもある。

特に、展覧会でしか見られないような大きな作品はガラスの味わいや魅力、迫力も何倍も違う。
個展ならではの作品もこの機会にぜひじっくりと愉しんでもらえると嬉しい。 

(了)
 

 

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