金城 貴史(きんじょう・たかし)略歴
1981 兵庫県西宮市生まれ
2010 長野県上松技術専門校木工科修了
2011 奈良県にて匙の製作を始める
2016 岐阜県中津川市に移住
2021 現在同地にて製作
金城さんを初めてお見かけしたのは、京都の知恩寺での手づくり市だったような気がしています。
はっきりした記憶じゃないのは、その当時行く先々のクラフト系のイベントや市で何度もお見かけしていたから。
どのイベントでだったかな、と記憶の糸がこんがらがっている。
金城さんが独立されてほやほやの2011年頃、私もいろいろなイベントを巡って歩いていた時期、偶然お見かけしていたのでしょう。
初めて話したのは、たぶん静岡手創り市だったでしょうか?
お顔は見かけていたのに、話しかけるまで結構時間がかかりました。
あの時お話することができたから顔見知りにもなれましたし、こうして今回の展示まで続いてきました。
本当によかったなあとしみじみ思います。
以前使用していた材はもう少し多岐に渡っていた覚えがありますが現在はもっぱら写真のイタヤカエデを使用されているそうです。
分厚い。
(あとは制作に応じてヤマザクラや栗等々、異なる材も入れていらっしゃいます)
木の肌がきめ細やかで、独特の光沢を放つ木目が特徴的です。
木材の中でもカエデは堅い部類に入ると思います。
せっかくなので、金城さんがメールで説明してくれた文を引用します。
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ちなみにお送りしたイタヤカエデの板ですが、あの厚みだと、
チョークで囲んでいる部分は、
黒い箇所はカエデ特有の金条(カナスジ)
カナスジは強度的な問題はないので、
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匙の素地を仕上げする時、大概の制作方法ではサンドペーパーを使って表面をなめらかにすることが多いです。
しかし金城さんはご自身でよく研いだ切れる刃物でこつこつと彫って仕上げまで持って行っているので、彫った跡が荒れることなく本当になめらか。
サンドペーパーを使うことは今もないそうです。
手に取って間近で見た時に「これサンドペーパー使ってないって、えええ!」と驚愕し衝撃を受けたことをよく覚えています。
刃物を砥ぐ、ということも実はひとつのかなり大きな技術です。
木工で食べているプロのつくり手さんでも「刃物砥ぎは苦手」という方もおられます。