読み物

森谷和輝さんとガラスと ①

A Light Existing Only Here

A Light Existing Only Here

はじめに


緊急事態宣言が出るすこし前、福井の森谷和輝さんを訪ねた。
どんな展覧会にしようかとの話し合い。

浮かんでいた漠然としたイメージ。
ほしかったのは、遊ぶように自由になれること。

窮屈さを覚える日々に慣れはしても、なくなるわけじゃない。
だから、自由気ままに愉しめるものとか
ただ感じたままに心遊ばせるものを
いろんな方にお届けしたいですね、と私たちは話した。

それから新たに手がけ出した作品を
森谷さんはテーブルに並べ始めた。
そばに活けられた花の終わった桜が、
次はふかふかの小さな若葉を幾つも芽吹かせていた。
穏やかな4月最初のいい一日だった。


ここのみに存在している光。
ガラスの中。
この場所。
森谷さんのガラスを手に取る人の、心に中に。

明るい光が、軽やかに誰かの中に差し込むことを願う。

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