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濵端弘太 木を見て我を見る ④

濵端弘太さんにお聞きする 前篇

濵端弘太さんにお聞きする 前篇

 

恒例のロングインタビューシリーズ。
今回も展覧会をして頂く木工作家の濵端弘太さんにお話をお伺いする機会を頂きました。
インタビューというより、作業中の濵端さんの仕事をみながらお話をしたという今回です。
時折作業に見入ってしまったので、話と話の間に空白があったり、唐突な質問もあります。
漆を塗る作業を人に見せるのはそういえば初めてということで、まずは自分が埃っぽくないかどうかがとても気になりました(笑)
そこまで口数の多いタイプではない濵端さん。
仕事をする姿から見えてくること、そこで生まれたやり取り。
行ったり来たりする対話の中で、徐々に濵端さんの人柄や考えなどが浮かんできたのではないかなあと思います。

 
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店主渡邊(以下渡邊):漆部屋は仕事の性質上そんな汚くしている人いないと思うけど、 やっぱり綺麗ですね、濵端くんの仕事場は。 ほんと綺麗。 藤嵜先生(濵端さんが3年間弟子入りしていた大阪の木漆工芸「槌工房」主宰の藤嵜一正氏。大阪府指定無形文化財木工芸保持者でもあります)のところもこんな綺麗だったんですか?

濵端弘太さん(以下濵端):あそこは人数がいるんで、手が回るんで綺麗にすることはできますね。

渡邊:そうなんですね。ここのように一軒家だとこうして使い分けができるからすごい良いですよね。こんな良いところが近くにあるなんて。(5年ほど前に以前仕事場にされていたご実家から徒歩1~2分の場所に新たに工房を移されました)

濵端弘太さんにお聞きする 前篇


(濱端さんが作業を始める)

渡邊:これ(漆箆の汚れ)を落としてるの?

濵端:先端を研いでなるべく綺麗に使えるように。ギザギザだったら(漆が)まとまらないんですよね。

渡邊:なるほど。作業を始める前にやるんですか?それとも作業が終わった後にもする作業ですか?

濵端:終わった後はこの溶剤とかがまだ残ってるんで。

渡邊:なら作業が始まる前にやった方が効率が良いってことですね。盆は立派な輪花だね。美味しそうに見えます。

濵端:こういうお菓子ありますよね。何でしたっけ、ハーベスト? 

渡邊:ハーベストってありますね。美味しそう。定盤(漆を練る作業台のこと)載せている引き出しのような台はどうしたんですか?

濵端:これは仏壇の台座みたいなやつで。

渡邊:あっはっは!なるほど!そうか、専用のものではないんですね。なんだろうと思いました。

濵端:これいいですよね(笑)

渡邊:ちょうどよく収まってますね。仏壇の上は解体されて?

濵端:はい。

渡邊:箆の感触はものによって違いますか?

濵端:最初は固いんですけど、 糊で固められてるのを叩いて切って削って、こういう風にするんです。これはまだ一回も使ってないやつなんで。

渡邊:なるほど。穂先がちょっとまだ慣れてない。慣らすのに何か特別なことをしたりは?

濵端:柔らかかったら割っていきます。

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渡邊:この前の手乃音さん(茨城県つくばの生活道具のお店)の展示はどうでした?どんな手応えがありました?

濵端:んー、そうですね。今まで作ってなかったようなやつを作ってみたんでどうなるかなと思ってたんですけど、割と受け入れてくれて良かったです。

渡邊:ああ、それは嬉しいですね。今までは輪花系に人気が集まる感じでしたか?

濵端:うん、ですね。今回は塗りのものとかも多かったんです。

渡邊:(手乃音さんのインスタグラムの)投稿を見返してきたんです、ここに来る前に。結構ガッツリ漆のうつわという感じも多かったですね。

濵端:まあ木工作家で通ってるんで(笑) 木工のうつわ(漆を用いていない作品)かなって思ってきたらお客さんは「あれ?」みたいなこともあったと思うんですけど。

渡邊:あれ漆のうつわなの?っていうね。そうだね、木工作家っていうと一般の人がイメージするのはも木々の色を活かしたオイル仕上げのものを作っているイメージが強いかもしれませんね。お客様と話していると、木の器と、漆の塗っている器は別のカテゴリーっていう意識を持ってる人も確かに多いかな。(ある器に目が留まって)あ、これはアンモニア燻蒸の作品ですか?

濵端:これは鉄染めですね。

渡邊:鉄染めのものを使っていくと染色はしてるけど色変わっていきますよね。

濵端:明るくなっていきますよね。

渡邊:染めてあるからそんなに変わらないのかなと思うけど、実際使ってると色の変化を感じられますね。

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渡邊:休みの日をつくったりしますか?

濵端:休みの日をつくるというか疲れたなって思ったら休みます(笑)  

渡邊:どこか出かけるとか?

濵端:休んでも、(庭の)草刈りとかやらないといけないんでね。

渡邊:仕事を休んでもだいたい皆さんほかにやることありますよね(笑) 益子の近藤さん(陶芸の近藤康弘さん)もそうでした。畑作業に追われてますって言ってました。「そっちもやらないといけないんでね」って。庭仕事をするというよりかは草刈りですか?

濵端:そうですね。僕は畑はやってないので。草刈りが大変で。

渡邊:どこまでが敷地?

濵端:作業場の向こうにもあるんですよ。

渡邊:へえー、まだ敷地が。木を置いてるとか?

濵端:木あります。

渡邊:屋根作って置いてあるとか?

濵端:もともとあった倉庫があって。たまにヘビが入ってくるんですよ。

渡邊:出た、ここにもヘビが。近藤さんのところもマムシとかアオダイショウとか出て、(屋根から)落ちてきたらしいよ、ドーンって工房の中に。

濵端:僕の場合は、この工房の中はないですけどね。

渡邊:ここは出ないよね、綺麗だもん。倉庫には入ってきたりするんだ。追い払う?

濵端:いや、勝手に向こうが逃げていくんで。「なんか木出すんか?」みたいな。それで「あ、すいません」っていう。

渡邊:ははは(笑) 向こうのほうが主導権あるんだ。濱端くんの場合は仕事をする中で何を作ろうかなって考えていることの方が多いんですか?

濵端:そうですね、あんまり何か見に行ってヒント得るっていうのはないかもですね、最近特に。っていうか長崎は見に行くものがあまりないので。

渡邊:それは[長崎には自分が見たいものが少ない]という意味で? 

濵端:なんかね大阪とか京都とかそういう所に行ったら何かやっぱりあるんで。

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渡邊:そっか、修行時代のほうがもしかしてよく見に行ったりしてたのかな。神戸の竹中大工道具館には行ったことあるって話でしたよね。

濵端:そうですね。修業時代に、先生と工房のみんなと急遽行くことになって。ただその時、たまたま僕、すごい頭が痛くて具合悪かった記憶があって。

渡邊:大阪から神戸行って展示見たら2~3時間はかかっちゃいますよね。具合悪かったらせっかくだけどあんまりゆっくり見てないんじゃない?

濵端:僕の記憶にあんまり残ってないだけで昼前ぐらいから行ってなんだかんだ夕方くらいまでいたはずなんです。

渡邊:見に行ったらそれぐらいになりますね。竹中大工道具館は展示が充実してますし。 行ったこと私もあるんですけど、1時間や2時間の短い時間じゃ見終わんないからまた行かないといけないなって感じで出てきました。見どころいっぱいあるから夕方くらいまでかかりそう。

濵端:インパクトは残ってるんですけど、体調が悪かったので具体的な記憶が薄いです(笑)

渡邊: 今だったらもっと楽しめますよ、きっと。うちの店からだと歩いて12~13分なんでけっこう近いので在廊の時にお時間あればぜひ。


→後篇へ続く

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