読み物

はしもとさちえ 旋律がくりかえすように ①

羽をのばして

羽をのばして



「最近リム皿なんか特にどんどんうまく作れるようになってて。
それが本当に楽しい。
新しいことや新しい世界を考えるのも、この先もっとできるかもしれないと思えてわくわくしますね」

はしもとさちえさんの陶歴は20年くらいになる。
だから「最近 どんどん うまくなってて」は印象的だった。

もっとこの先にある新しい何かを求める気持ち。
きらきらしていると思った。

今回の個展、準備時間が充分にあるとはいえない。
でも、彼女とともに何か新しい世界を造りたかった。
しかも今回だけのその場限りのものではなく、「この先へとつながる新しい芽のような何かを」と思った。

ずっと作り続けているはしもとさんの彫りシリーズが持っている構造や制作方法を改めて頭に思い浮かべながら、もう一歩新たな展開へと広がりそうなフォルムや彫りを入れる場所など、こんな方法はどうですか?と提案した。(生意気にも)

初回打ち合わせの場となり、そこで披露されたのはすでに物にしたようなほぼ完成されたようにも見える魅力的なものたちだった。
彼女の新しい何かを求める気持ちは、イメージを実際の物へと作り上げる能力をも磨き上げていると思った。

彼女は私の拙かった想像を自らの感覚と身体に落とし込んで、 まるで彼女自身のようないきいきとした作品という形にして、今回も見せてくれるだろうと信じている。
さあ羽をのばして、自由に新しいこの先の世界へ。

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