読み物

夏の家 ①

夏の家への招き

夏の家への招き



拝啓

 田植えも終わり、さわやかな風が青田を渡り水鏡が揺れる季節になりました。皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。

さて今回は夏のご案内です。

以前から私は、百職の建物のリノベーションの要となった建築家の久米岬さんとイラストレーターの火詩さんのお二人とともに初夏の展覧会がしたいと考えていました。
いつもの手仕事の作家さんの会とは趣が異なります。
建築と絵を司るお二人の何を引き出して、どう披露しようかとおぼろげなまま巡り巡っていた思索は、ある日〈夏と建築〉が頭の中で出会い、結びつきました。

「〈建築〉は、人が集まるはじまりの場。久米さんによってリノベーションされたこの古民家をよりどころの土台にしたら、新たに《夏の家》を作り出せるかもしれない」

夏の家というのは北欧諸国に古くから根付いている文化のひとつで、日本でいう別荘とは少し違い、都会に暮らす北欧の人の多くが田舎に自分の《夏の家》を持ち、お金をあまりかけずに心豊かに長い夏の休暇を楽しむためのセカンドハウス。

百職の《夏の家》は久米岬さんの建築で形作られ、壁には火詩さんの絵やカードが飾られます。
竹工芸の石井美百さん、そして毎夏の展をともにしてくれるガラス造形の森谷和輝さんにも加わって頂きます。
室内の窓を透過する光が、竹細工とガラスの品々を映し出し、陰翳が生まれることでしょう。

これが今思い描く、百職の《夏の家》です。
皆さんをぜひお招きしたいと支度中です。

始まる頃には夏の暑さがいよいよ始まっているかもしれませんが、夏の日の外出もまた風情あるものです、ぜひお出かけください。

                                                                                                          かしこ 

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