読み物

Fail better,Wonderful happens. ⑤

出展作家/参考出展作品 はしもとさちえさん、森谷和輝さん

出展作家/参考出展作品 はしもとさちえさん、森谷和輝さん


はしもとさちえ|銀彩ボウル

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はしもとさちえさんの銀彩のボウル。
個展用に制作したものの手元に戻ってきたという。
それでも、彼女のやってみたかったことが思い切り詰め込んだという作品。
手元にあることが嬉しい反面、もう少しいろんな人に見てほしいという思いも。

はしもとさんの象徴とも言える「彫り」は、このボウルにはない。
フラットでなめらかな面。
姿は優雅な曲線を描き、肌はすべて銀彩をまとっている。

彼女が長い間尊敬してきた作家へのオマージュも寄せられている。
腰から脚にかけて細くなっていく緊張感のあるラインは特徴的。
古き佳きものを写すことで、次第に自分自身しか作れない形を導き出し昇華させていく。

銀彩の金属的でクールな色合いと、人がかたちづくる丸みと体温のようなものがひとつになろうとしている。
はしもとさんが今まで見てきたもの、触れてきたもの、感じてきたものが結びついた。

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森谷和輝|ロート

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グラスを作るつもりが溶けすぎてできた形だそう。
ロートとして使えて、ガラスの質感も気に入っていたので手元に置いてあったという。
世に出していなかったけれど、森谷さん自身が気に入っている作品。

背景に溶けてしまいそうなくらい透き通っている部分と、砂糖をまぶした菓子や結氷のように白くフロストした部分が入り混じり、輝いている。
実験器具として作られている耐熱ガラス製の漏斗とは異なる趣。
何かに似ていると眺めていると、はたと思い当たった。
どことなく球根植物を思わせるのだ。
ストロー部分は、さながら球根から伸びた茎のよう。
柔らかさとしなやかなさが同居している気がする。
用途を持った道具でありながら、命あるものの形を写し取った有機的なオブジェのようだと手に取った。

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