読み物

春日静座 ④

茶飲み話3 続・自分へのごほうび

茶飲み話3 続・自分へのごほうび


道一さんは

「俺は山野草かな」
と話してくださった。

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時々産直に出かけては、少しずつ集めているそう。
敷地内には最近植えられたと思しき若木がいくつかあった。
「山野草を見繕うならこの産直」
というのもちゃんとあって、お気に入りの山野草を着々と増やしているらしい。
ちっちゃいごほうびだよなあ、と道一さんは笑っていた。

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道一さんと知子さんは日頃から自作の花器に草花を生け、SNSに載せている。
周辺には田畑や里山が広がり、トラクターもあちこちで見かける。
お二人の仕事場兼住居は山林でぐるりと囲まれ、そこだけがぽっかりと独立した、まるで小さな集落のような趣。
花器に活けている草花は、近くを歩いて摘んだり、自分で育てたものを活けることもあるという。

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わざわざ買うわけではなく、身近にある自然から分けてもらえそうならそうする。
山野草を活けることも、やきものづくりからも、その姿勢が自ずとにじみ出ているように感じた。
お二人にとってはそれはエコロジーな思想でもなく、ごく当たり前の日々の営みの中のひとつなんだろう。

んな自然が近くにあることが贅沢にも映る。
一方で、敷地内の草木や周囲の山林整備、管理などの手入れには労力がかかる。
それでもお二人は、ここでの暮らしと仕事が気に入っているし、大好きな場所だと話した。

吾唯足知(われ、ただ足るを知る)。
足ることを知る人は心穏やかである、という釈迦の説いた教え。
誰にでも、自分にとって必要なものは今この目の前にすでにあるのかもしれない。

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