読み物

森谷和輝 resonance ①

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共振 共鳴 反響


展覧会打ち合わせのため、一年ぶりに森谷和輝さんの工房を訪ねた。


いつものように仕事場を拝見する。
何かを手に取らせて頂いたり、気がついて目についたものがあったりして自然発生的に対話が生まれてくる。
そこでふと、森谷さんがこんなことを語った。
「僕はいつも現象を面白がっているだけで、そこで終わっちゃうから」
「現象すごいでしょみたいなのだけで止まらず、長く愛着を持ってずっと使いたいものとかそこに置いておきたいみたいなのがその先にあるといいなと」
「面白がって作りたいんですけど、出来たものが愛着湧くようなものになっているといいですよね」

使い手の方に向け
「どうか愛着持ってもらえますように」
と願いながら制作する。
それってごく自然なことだ。
取材時にも自分なりに返答はして会話は流れていったのだけれど、数日経つごとに妙に蘇ってくるものがあった。

作品制作。
そのきっかけは自分の内側だったり外側だったり。
あらゆる場所から湧き上がり、作り手のこころや思考に響き、然るべき時を経て始まる。

匙加減はそれぞれだと思うけれど、制作過程では使う側の立場になり様々な視点からイマジネーションを膨らませたりして、それがよりよいものを生み出す糧にもなるという。
独りよがりだけではいいものは生まれない。
とはいえ、振り回されて過剰になるのも怖い。
気に入られようと受けを狙うあまり、作り手の本質がまるっきり見当たらなくなったものづくりは、その人が作った必要性は失われ魅力に欠ける気がする。
紙一重の世界。

ものづくりの根本にあるのは作り手自身だし、〈自身が作ってみたいと制作意欲を駆られるかどうか〉でもあるし、その土台にいかにしっかりと立って、どこまでその世界に入り込めるかで〈ここのみに存在している光〉になりうる。
※2020年に開催した森谷和輝さんの個展タイトルは「A Light Existing Only Here」

森谷さんにはぜひ、いつまでもどこまでも〈いつも現象を面白がって〉いてほしい。
それが強ければ強いほど生まれてくる作品の純度は高まる。
純度の高さは人の心に訴えかけ、動かし、やがて共振していく。

振動や波動が同じ周波数で共振し、振幅が増大する現象〈resonance〉。
森谷さんのアイデアや感情の詰まったガラスたちが、見る人の心に波紋し、透明な響きが限りなく広がっていく景色を見てみたい。
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