読み物
time piece ③


真竹の白竹細工を手掛ける岡悠さんの定番作品のひとつ、茶托。
材料は、自ら竹割りして作った約1.5mmの竹ひご。
これを二本揃えて寄せながら底部から編んでいく。
本麻編みは、竹細工の基礎中の基礎である六つ目編み系統の編み方。
極細のひごを使うことで紋様に繊細さが生まれ、出来上がりは精緻で華やかさも感じられるものとなる。
約1.5mmのひごは竹細工の中でもかなり細めのひご。
第一にこういった細いひごを作ることがまず非常に難しく、竹を扱う高い技術が問われ修練がいる。
作り出したひごを編み上げていくのも同じく技術が必要不可欠。
積み上げた高い技術を生かし、緻密で華のある茶道具や美術工芸品を生み出していくのが京竹細工。
伝統工芸の京竹細工工房での修業時代を経て独立した岡さんが今作るのは美術工芸ではなく、暮らしの中に彩を添える日々の竹細工。
ただその作品の中には京竹細工の世界で培った技術と思わず目を奪う美しいデザインがはっきりと存在していて、それが岡悠さんが作るものの個性となっている。
麻編みの麻紋様は、丈夫でまっすぐに育つ植物の麻にあやかった健康や成長を願う吉祥紋様として今も広く親しまれている。
time piece ②


人の手をかけ、晒して色を抜いて素材とする白竹。
対して青竹は竹本来の素材の色を生かしていることから、瑞々しい生命力と野性味が持ち味だと思う。
石井さんはこの真竹の青竹の直線的でナチュラルな個性を生かすならと、竹細工の基礎でありオーソドックスで整然としたシンプルな印象を見る人に与える六つ目編みや網代編みを採用している。
直線で構成された編み模様は、メトロノームが一定のリズムを刻むように安定感がある。
かといって変化の乏しい退屈さはない。
竹ひごの幅を変えて編むといった工夫を凝らすことで、シンプルな中にデザインの変化を生み出すこともできる。
弁当箱の小サイズはおにぎり2つくらいがちょうど入るくらいのサイズ。
中サイズはおにぎり2つとおかずが少し(から揚げ1つ、卵焼き1~2切れくらい?)が丁度良さそう。
ちなみに網代模様は漁に使う網が由来と言われ、網が邪気を防ぐとして魔除けの意味で使われたり、豊漁や大漁の縁起担ぎの意味もあると言われている。
また歴史が古い編み方でもあり、縄文時代以降の遺跡からは網代編みのかご類の一部が発見されている。
time piece ①


石井美百さんは、神戸を拠点に青竹細工をされています。
彼女の技術的なルーツは大分竹細工。
岡悠さんは、京都宇治田原で白竹細工をされています。
彼女の技術的ルーツは京竹細工。
竹細工の産地は今も日本中に点在し、以前はもっともっとありました。
寒暖差のある日本では土地ごとに生育する竹の種類に違いがあり、同じ竹でも青のまま使うところもあれば、白くして使う場合もあります。
お二人が使う青竹と白竹は、同じ真竹。
青竹は伐採した真竹そのものの色を生かした素材で、白竹は真竹に含まれる油分を抜き天日に晒すなどして色を抜いた素材のことを言います。
同じ真竹でも、青と白では、硬度やしなやかさなどの性質、材料づくりのタイミングや保管の取り扱いなどは異なります。
そして見た目で分かりやすい「編みの模様」。
竹細工の基礎となる編み模様(六つ目、四ツ目、網代等々)こそ共通しますが、そこからまた応用され生み出された編み図の発展を見ると、大分系統独自のものと京都系統独自のものとではそれぞれかなり特色があり、個性ある美しさと面白さを楽しむことができるでしょう。
土地ごとの文化の違いから始まり、どこでどんな人々にどのように使われていたかで求められるもの、良しとされるものはその都度変化します。
先人たちの竹の仕事がこれまで長く長く積み重ねてきた時間。
流れ流れて現代。
竹の仕事をする石井さんと岡さんがそれぞれ積み重ねてきた時間。
時のかけらが降り積もり結集し編まれた一目一目の中には、目に映る以上のものが深く濃く編み込まれているようにも感じます。
今回の小さな催しでは並ぶ数は少ないですが、その代わりに作られたものたちとじっくり対話するような場をご用意いたします。
Fail better,Wonderful happens. ⑤


はしもとさちえさんの銀彩のボウル。
個展用に制作したものの手元に戻ってきたという。
それでも、
はしもとさんの象徴とも言える「彫り」は、このボウルにはない。
姿は優雅な曲線を描き、肌はすべて銀彩をまとっている。
彼女が長い間尊敬してきた作家へのオマージュも寄せられている。
古き佳きものを写すことで、
銀彩の金属的でクールな色合いと、




森谷和輝|ロート

グラスを作るつもりが溶けすぎてできた形だそう。
ロートとして使えて、
背景に溶けてしまいそうなくらい透き通っている部分と、
実験器具として作られている耐熱ガラス製の漏斗とは異なる趣。
何かに似ていると眺めていると、はたと思い当たった。
Fail better,Wonderful happens. ④


su-nao home|リム深皿rm-4
su-nao homeの松本圭嗣さんから届いた今回のリム深皿rm-4。
規格内と規格外について、作り手は各々の物差しを心と目に携えて
このリム皿たちはいつもよりも釉薬を厚くかけてしまったことで、
それでも焼き上がりに美しく感じる部分が多く、工房の隅に数年間
su-nao homeさんの〈黒の器〉は常に凪いでいる夜の水面のよう。
その黒が、この時は風に吹かれざわりとさざめいた。
黒はより黒く深みを増した。
目を凝らすとリム皿の釉肌はいつもよりも饒舌で、豊かで芳醇な階
高木剛|カイラギ茶碗
カイラギとは漢字では梅華皮と書いたり梅花皮とも書いたりする。
ものの本によると
「 梅花皮はインド洋などに生息する特殊なエイの皮に漆を塗って研ぎ
とある。
こちらではそろそろ梅の見頃も終盤。
花を眺めながら高木さんの茶碗のことを思い出していた。
茶碗をお蔵入りさせていた理由は〈釉景不足〉ということだった。
高木さんが求めていたよりも淡味ということなのかもしれない。
一方で淡い味わいを好む人もいる。
お茶を味わう時間を経るごとに、




とりもと硝子店さん|大鉢

ポンテ跡がきつく泡の模様にも思うところあって眠らせていたということだった。
大きく、素材の存在感が際立つ。
とりもと硝子店さんが作る透明なガラス。
澄み切っている、悠然と。
光と水をたっぷりと備えて。
静かでありながら、確かなエネルギーを発している。
無数の小さな泡粒は、
仕上がりに思うところがあっても、



