読み物
As it is. ①

自然体
百職では2019年のグループ展参加以来、
誰もがささっとカジュアルに使えます、という雰囲気のうつわかというと少し話は違ってくるか
ただその居ずまいや質感。
手に取って見れば見るほど味わいを覚え、どんな料理を盛ろうかと料理好きやおいしいものに目がない人々の心をくすぐるのが高木さんのやきものたちじゃないかと思う。
朝鮮の李朝白磁や粉青沙器。
日本の古い粉引に唐津のうつわ。
このような古典的なやきものから学び続け、 触発されてきたという。
海を超え時を超えた様々なアジアの古陶磁たちが持っている「 普遍」を抽出し、 自然とにじみ出てくるようなやきもの作りが高木さんの魅力である と思う。
古い時代のやきものを徐々に紐解き解釈していくと、 今の時代に生きる高木さんの姿が自ずと映し出される。
どこかの国のどこかの時代。
どこかの旅路のほとりで出会ったことがあるような。
深いところに刻まれた遥かな記憶を柔らかく刺激する。
高木さんの手がける自然体の、ありのままのうつわたち。
古陶磁のおおらかさや愛嬌を漂わせながらも、 シャープなラインを持ち洗練されたフォルムを見せる。
長年住まわれた京都から、 2020年夏に高木さんは福岡県うきは市に制作拠点を移され、 新たな環境を切り拓かれた。
変化していく日々の波の中、 たゆまず歩み続ける高木剛さんの姿を映し出した作品群。
どうぞこの機会に楽しみにお越しくださいませ。
朝鮮の李朝白磁や粉青沙器。
日本の古い粉引に唐津のうつわ。
このような古典的なやきものから学び続け、
海を超え時を超えた様々なアジアの古陶磁たちが持っている「
古い時代のやきものを徐々に紐解き解釈していくと、
どこかの国のどこかの時代。
どこかの旅路のほとりで出会ったことがあるような。
深いところに刻まれた遥かな記憶を柔らかく刺激する。
高木さんの手がける自然体の、ありのままのうつわたち。
古陶磁のおおらかさや愛嬌を漂わせながらも、
長年住まわれた京都から、
変化していく日々の波の中、
どうぞこの機会に楽しみにお越しくださいませ。
春日静座 ④

茶飲み話3 続・自分へのごほうび
道一さんは
「俺は山野草かな」
時々産直に出かけては、少しずつ集めているそう。
敷地内には最近植えられたと思しき若木がいくつかあった。
「山野草を見繕うならこの産直」
というのもちゃんとあって、お気に入りの山野草を着々と増やしているらしい。
周辺には田畑や里山が広がり、トラクターもあちこちで見かける。
お二人の仕事場兼住居は山林でぐるりと囲まれ、そこだけがぽっかりと独立した、まるで小さな集落のような趣。
山野草を活けることも、やきものづくりからも、その姿勢が自ずとにじみ出ているように感じた。
お二人にとってはそれはエコロジーな思想でもなく、ごく当たり前の日々の営みの中のひとつなんだろう。
そんな自然が近くにあることが贅沢にも映る。
そんな自然が近くにあることが贅沢にも映る。
一方で、敷地内の草木や周囲の山林整備、管理などの手入れには労力がかかる。
それでもお二人は、ここでの暮らしと仕事が気に入っているし、大好きな場所だと話した。
吾唯足知(われ、ただ足るを知る)。
吾唯足知(われ、ただ足るを知る)。
春日静座 ③

茶飲み話2 自分へのごほうび
と。
横から道一さんが
「あるじゃんごほうび。月二回の鍼」
とにやにや。
改めて
改めて
「たまに余裕があったら山登りに行くね」
「高い山は時間ができないから、近所の山。往復30分くらい」
香川の里山を形作っているのは、広い讃岐平野にぽこぽこと頭を出している〈おむすび山〉〈おにぎり山〉と呼ばれる、円錐型の丸みを帯びた山々。
標高も100~300メートルの低山が多く、気軽に出かけられるという。
知子「斜面はでもきついの」
知子「斜面はでもきついの」
道一「きついね」
知「ね。チェーンとかあって。犬の散歩気分では行けないから、ちゃんと登らないといけないんだけど。往復30分くらいで行けるし、ちゃんと登山道もあるの。ここら辺おにぎり山だから見晴らしも良いんだよ」
道「そう。おにぎり山だから、低いなあと思うし実際大して高くないんだけど、実際にのぼりだすとね、チェーンないと登れないの。騙されたみたいな感じになる」
知「去年か一昨年には(徳島の)剣山に行ってね。素晴らしい山だった。すごいコンパクトなんだけど、稜線が長くて」
道「期待していた以上によかった」
知「ちょっと(日本)アルプスの匂いもするようなね。本当はごほうびに、そういう大きな山に登りたい。なかなか休む勇気がないけど」
道「四国には百名山は二つしかないんだって。剣山と石鎚山なのね。次はその石鎚かなあ」
知「昔アルプスに登った時はお金がないからテント背負って行ったけど、今度は山小屋に連泊したいの。山を堪能する。上でゆったり行けるところの範囲をぐるぐるして二、三泊して帰る、みたいなのが夢」
道「でもやばいね。足腰が」
知「もつかどうか」
道「最低でも片道6時間は必要なんだよ」
春日静座 ②

茶飲み話1 気分転換
その茶飲み話の席で仕事の気分転換についてお聞きしてみた。
焼成後のうつわの仕上げ作業は重い器械を使う重労働。やり過ぎると傷になるのでかなり神経も使う。
「その日も作業後は結構へとへとになって『疲れたから今日は夜仕事はやめておこう』と思いながら、まだ夕方だったからいったん仕事場に戻ったの。で、土を見たら『明日の段取り考えたら土練っておけばさっとできるかも』と思いついて土練りを始めて。そうしたら更に『ちょっと引いておけばもっと段取り良くなるよなあ』ってろくろしたら、すごい身体が楽になったってことがあって。だから気分転換はろくろかも。ソファみたいなのが苦手で、ろくろの前かがみの姿勢が自分には合っているのかも。仕事場にいるのが一番のリフレッシュ。趣味だから、仕事は」
という答えが返ってきた。
ちなみに、朝起きてから仕事モードへの切り替え方や、ルーティンをお聞きした時も
「茶々の散歩に行くことかな。帰ってくると、さあ仕事だなってなるんだよね」
という答えが。
この工房で暮らす二人と一匹という家族。
春日静座 ①

穀雨の季節に
2021年以来、久しぶりに出展してくださる境道一さんと知子さん。
この数年の間に、お子さんたちの手が離れ、仕事場に居を移された
まだこの文章を書いている時点では工房にはお伺いできていません
展覧会は穀雨の季節。
花散らしの雨から、草木を潤し田畑に染み込む雨。
春の雨は、自然や作物にとっては恵みの雨。
冬を忍んだそのご褒美の雨。
たくさんの生命を育み、その背中を押します。
成長に目を見張る一方、夏へと入れ替わっていく端境期で、新しい
雨を聴きながら、静かな時間を作る。
こころとからだに、気持ちよい風を通す。
咲き始める牡丹を愛で、伸びてきたよもぎの若葉で拵えた草餅を新
ささやかなご褒美とおもてなしを〈私〉にも。
忙しい時ほど、自分のことも大切に。
本展のテーマは、自分への初夏のご褒美とおもてなしとしました。
皆さま、ぜひ楽しみにお越しくださいませ。
























